ANA特典航空券の改定まとめ|世界一周廃止と必要マイル増
書いた人みるとべ編集
目次6項目
ANA特典航空券およびアップグレード特典の利用条件・必要マイル数が大幅に改定される。スターアライアンス世界一周特典航空券の新規受付終了、欧米・ハワイ路線の必要マイル引き上げ、アップグレード基準の見直しが柱となる。すでに改定前に発券を完了している航空券については、差額マイルの追加徴収なしで利用可能である。
まず確認: 自分は対象か
全日本空輸(ANA)が発表したマイレージクラブの制度改定において、どのような利用者が影響を受けるかを確認するためのチェック項目である。
- スターアライアンス世界一周特典航空券での旅行を計画している人
- 欧米路線やハワイ路線のビジネスクラス・ファーストクラス特典航空券を狙っている人
- アップグレードポイントを利用して国際線の座席アップグレードを行っている上級会員
- 保有しているANAマイルの有効期限が迫っており、使い道を検討している人
- 提携航空会社の特典航空券を組み合わせた長距離旅行を計画している人
上記の項目のうち、1つでも当てはまる場合は今回の制度改定の直接的な影響を受ける。特に世界一周特典航空券の廃止は、長年マイラーの間で最もコストパフォーマンスが高いとされてきたルートが完全に閉ざされることを意味するため、事前の対策が不可欠である。長距離ルートの具体的な必要マイル数については、過去の検証である10万マイルで世界一周するルート設計でも取り上げている。また、マイルの効率的な積算手段についてはマイルとJRE POINTの比較検証を参照されたい。
特典航空券予約の逆算 Step 1〜5
改定スケジュールに合わせて、損をせずにマイルを活用するための逆算手順である。
| ステップ | 実施内容・確認事項 |
|---|---|
| STEP 1保有マイルと期限の棚卸し | ANAマイレージクラブの口座残高を確認し、直近で失効するマイル数と36ヶ月(3年)の有効期限を確認する。失効予定マイルがある場合は、改定前の現行チャートで発券できる路線を優先的にリストアップする。口座内のマイルがグループ内で分散している場合はファミリーマイルの合算設定を完了させる。 |
| STEP 2世界一周特典の発券可否判断 | 世界一周特典航空券の新規受付終了日までに全旅程の空席を確保できるか検証する。1区間でも空席待ちがある状態では世界一周の発券は成立しないため、空席のある日程で確定させる必要がある。太平洋と大西洋をそれぞれ1回ずつ横断し、同一方向へ進むルーティング規則を厳密にチェックする。 |
| STEP 3欧米・長距離路線の先行予約 | 必要マイル数の引き上げ幅が大きい欧米路線やハワイ路線のビジネスクラス・ファーストクラスを狙う場合、搭乗日の355日前解放の空席争奪戦に参加し、現行マイル数での発券を完了させる。往復での旅程確保が難しい場合は、復路の解放日に合わせて変更可能な別日程で先行予約を打つ。 |
| STEP 4燃油サーチャージと諸税の計算 | 特典航空券の発券にはマイルだけでなく現金での諸税・燃油サーチャージが必要となる。運航会社によるサーチャージの違いについてはANA特典航空券の燃油サーチャージ差を事前に確認しておく。現地での決済手段については海外旅行のクレジットカード組み合わせも準備しておく。 |
| STEP 5発券完了と旅程の確定 | 予約完了後に即時決済を行い、eチケット控を発行する。改定日以降に旅程の日時変更を行う場合、区間やクラスの変更を行うと改定後マイル数が適用される制約があるため注意する。予約番号と航空券番号が正常に付与されていることをマイレージ画面で確認する。 |
手順を進める上での注意点として、改定日直前はANAの予約デスクへの電話が極めて繋がりにくくなり、Webサイトのサーバー負荷も高まる。ギリギリの日程ではなく、数週間の余裕を持って手続きを完了させることが求められる。焦って手続きを行うと、不要な払い戻し手数料が発生したり、希望の旅程が失われたりするリスクがある。
ルールの全体像: 改定前後の必要マイル数と変更点一覧
今回の改定における主要な変更項目、改定前の現行ルール、改定後の新ルール、およびマイラーへの実質的な影響度を整理した一覧表である。
| 改定項目 | 現行ルール | 改定後ルール | 実質的影響と注意点 |
|---|---|---|---|
| スターアライアンス世界一周特典 | 全旅程の総飛行距離に応じたマイル数で発券可能 | 新規受付終了(完全廃止) | 最大級の還元率を誇った制度が消滅。代替手段は個別区間の単純往復のみ |
| 北米・欧州路線(ビジネスクラス) | 往復 80,000〜90,000マイル程度(レギュラー) | 往復 100,000〜120,000マイル程度へ引き上げ | 必要マイル数が約20%〜30%増加。これまでより長期の貯蓄期間が必要 |
| ハワイ路線(ビジネスクラス) | 往復 65,000マイル(レギュラー) | 往復 75,000〜85,000マイル程度へ引き上げ | 人気のリゾート路線で実質的な値上げ。エコノミーとの差額が拡大 |
| 国内線特典航空券 | シーズン別チャート(3区分) | 基本的な枠組みは維持(一部ゾーン見直し) | 国際線に比べると改定幅は小さく、日常の国内移動への影響は限定的 |
| アップグレードポイント | 所定ポイントで対象運賃からアップグレード可能 | 対象運賃クラスの厳格化・必要ポイント調整 | 安価な予約クラスからのアップグレードが不可となる制約が強化 |
シーズン設定(ローシーズン、レギュラーシーズン、ハイシーズン)によるマイル数の変動幅も維持されるが、基準となる必要マイル数が底上げされるため、ハイシーズンにおける欧米ビジネスクラスの発券ハードルは極めて高くなる。航空運賃や国際航空行政の動向については、国土交通省航空局の基本方針とも整合的な枠組みで運用されている。改定後の必要マイル数を見据えると、1マイルあたりの実質価値を再計算し、マイル積算ペースを見直す作業がマイラー各自に求められる。
引っかかりやすいポイント
発券済み航空券の日程変更で新マイル数が適用される落とし穴
改定前に発券した特典航空券は、改定後であってもそのまま搭乗できる。しかし、改定後に「日付の変更」や「便の変更」を行う際、航空会社のシステム仕様により再計算が走り、差額マイルを請求されるケースがある。ANAの規約上、同一区間・同一クラスでの単純な日程変更であれば旧マイル数が維持される建前であるが、経由地の変更や運航便の変更を伴うと「払い戻し・新規発券」の扱いとなり、改定後の高いマイル数が適用されてしまう重大な注意点がある。
また、提携航空会社を含む旅程では、相手先航空会社のスケジュール変更によるフライトキャンセルが発生した場合に、代替便の確保が難航して予約が解約に追い込まれるリスクも考慮しなければならない。
世界一周特典の空席待ちが1区間でもあると発券できない制約
世界一周特典航空券は、全旅程(最大8回の途中降機、最大12区間)のすべてのフライトで「確定席」が確保されていないと発券ボタンを押すことができない。通常の単純往復であれば往路だけ確定させて復路を空席待ちにする手法が使えるが、世界一周では空席待ちは一切許容されない。受付終了間際に1区間だけ空席待ちを残したまま期限を迎えると、旅程全体が自動的にキャンセルされてしまうデメリットがある。
特にヨーロッパ内やアジア内の短距離区間であっても、特典枠が満席であれば全体の旅程が成立しないため、一部区間を有償の別切り航空券や鉄道で迂回するなどの柔軟な旅程設計が必須であった。
アップグレード特典の対象予約クラスの改悪
国際線航空券を有償で購入し、マイルやアップグレードポイントでビジネスクラスにアップグレードする手法において、最も注意すべきは対象となる予約クラス(ブッキングクラス)の制限である。ツアー用の包括運賃や、Web限定の格安エコノミークラス(K・L・Tクラス等)は従来からアップグレード対象外であるが、今回の改定により一部の中価格帯クラス(S・Vクラス等)も対象から外される。安いチケットを買ってアップグレードで快適に飛ぶ戦略が通用しなくなる。
アップグレード対象となる高価格帯の普通運賃(Y・B・Mクラス等)は、最初からビジネスクラスの割引運賃に近い金額設定になっていることも多く、金銭的なメリットが大幅に薄れる点に留意する必要がある。
改定日を過ぎた場合どうなるか
改定日を過ぎてしまった場合、旧チャートでの特典航空券発券は一切受け付けられない。システムは自動的に新チャートへと移行し、必要マイル数が不足している場合は発券画面に進むことができなくなる。手持ちのマイル数が足りないからといって、不足分を現金で補填して特典航空券を発券する仕組みはANAには存在しない。
目標としていたビジネスクラスの必要マイル数に届かなくなった場合の現実的な選択肢は、プレミアムエコノミーやエコノミークラスへのダウングレード、あるいはANA SKY コインへ交換して有償航空券の購入代金に充当することである。また、マイルの有効期限が迫っている場合は、提携他社のポイントや電子マネーに移行する防衛策も検討しなければならない。
よく届く問い: 世界一周の代替案、発券済みチケット、有効期限
世界一周特典航空券が廃止された後、複数の都市を周遊する代替案はあるか
スターアライアンス世界一周の廃止後は、提携航空会社特典航空券を利用して複数都市を訪問するか、ワンワールド加盟の日本航空(JAL)が提供しているワンワールド特典航空券を活用することが代替案となる。JALの提携社特典航空券は総飛行距離制を採用しており、最大8区間の旅程を組むことが可能である。また、単純な往復特典航空券に現地のLCCや鉄道を組み合わせる「オープンジョー(往路到着地と復路出発地が異なる旅程)」の活用も有効である。
改定前に発券した特典航空券は、改定日以降に乗る場合でも追加マイルは取られないか
改定日以前に発券(eチケット発行)まで完了している航空券については、搭乗日が改定日以降であっても差額マイルの追加徴収は行われない。ただし、発券後に区間の変更や搭乗クラスの変更を行うと、再発券扱いとなって改定後の必要マイル数が適用されるため、発券した旅程のまま搭乗することが推奨される。
マイルの有効期限が迫っているが、改定後まで延長する方法はあるか
ANAマイレージクラブのマイル有効期限は原則36ヶ月であり、期限の延長措置は用意されていない。ただし、ダイヤモンドサービスメンバーなどの最上級会員ステータスを保持している期間はマイルの有効期限が無期限となる。ステータスを持たない一般的な会員がマイルを延命させる手段としては、マイルをANA SKY コインに交換することで、交換日からさらに12ヶ月間有効期限を延ばす方法が実質的な対策となる。
- ANA公式サイト 特典航空券ご利用案内確認日: 2026年10月14日
- ANA公式サイト アップグレード特典ご利用条件確認日: 2026年10月14日
- 国土交通省航空局 国際航空政策と運賃ガイドライン確認日: 2026年10月14日
出典: 上の原典ブロック / 確認日 2026年10月14日 / アイキャッチ: Masakatsu Ukon/CC BY-SA 2.0(Wikimedia Commons)








